- 柳川市内を流れる掘割の総延長は、930キロメートルにもなります。これは福岡から東京までの直線距離に匹敵する長さ。2000年以上前から脈々と整備されてきた掘割ですが、柳川観光の要とも言える川下りが始まったのは、昭和30年のこと。昭和29年に長谷健原作の「からたちの花」が映画化され、柳川を舞台に撮影が行われました。映画の中で人々が川遊びをするシーンが注目されることに。翌年、柳川商工会議所は5艘のどんこ舟を発注し、そこから柳川川下りが始まったのです。
- 川下りコースになっているのは、難攻不落の城とも称された柳川城の回りを取り囲むように掘りめぐらされた外掘、内掘です。川下りコース沿いの家々から水辺へと続く汲水場や、ところどころ川幅を狭くし水量を調整する「もたせ」という機能。掘割の水と密接に関わり生活をしていた人々の暮しの面影が今も残っており、城下町の風情を感じながら、約70分のお堀めぐりが楽しめます。
- 柳川の川下りが全国に知られるようになる前の明治時代、柳川では川遊びが盛んでした。漁をしたり、どんこ舟で遊んだり。掘割に面した家々では小舟を所有し、移動にも利用していました。川舟は、一家に一艘はあり、嫁入り道具のひとつだったともいわれています。ホタルを見に行ったり、秋にはお月見をしたり、舟の競争をしたり、水泳をしたり。人々が、より安全に、より清潔に用いられるようルールも定まっていました。昭代地区には、朝8時半までは飲料水を汲むため、洗いものをしてはならず、夏の昼1時から3時までは水泳をする人が優先されました。夕方は夕飯の炊事用に水を使うので洗い物を控えました。
- 掘割と舟は、柳川の人びとにとって欠かせないものだったのです。
- 柳川の人々がかつてより密接に関わってきた掘割ですが、今でも舟遊びを楽しむことができます。エンジンのついていない舟であれば、掘割に舟を浮かべて遊ぶことも。掘割沿いの家では手こぎボートを所有しているところもあり、休みの日には、家の近くの掘割でボート遊びをしたり、舟に自転車を載せて出勤する人もいるようです。
- 夏には、水郷柳川夏の水まつり「すい!水!スイ!」が開催され、ソーラーボート競争や、どんこ舟リレーなど掘割で遊び尽くす盛りだくさんの水まつりとなっています。競技エリアからちょっと離れた場所では、カヌー体験も。慣れないカヌー操作に、落ちてびしょぬれになってしまう方も中にはいますが、柳川の夏を満喫できる絶好の機会。他にも、年2回開催されている「水郷柳川ゆるり旅」で、カヌー体験プログラムや掘割に関するプログラムがたくさん開催されています。柳川市の公式ホームページでその内容を確認することもできます。
柳川おでかけWeb
表紙スライドショーの写真のご紹介
6月・水無月
梅雨を迎え、雨に濡れイキイキと咲く花々も掘割沿いを華やかに。
川下りコースから見える椛島菖蒲園の花菖蒲が見頃に/掘割沿いの遊歩道にはあじさいが色とりどりに咲き誇ります/麦を刈り取った後は、いっせいに田植えが始まります/毎年夏至の日に眞勝寺で行われる燈明の夜の幻想的な光景/雨の日の川下りはカッパを着て/掘割でカヌー体験をする子どもたち