- 「さげもん」は柳川に伝わる吊るし飾りです。女の子の初節句に、健やかな成長を願い、ひな壇の両脇に対になるように飾られます。昔はおめでたの知らせがくると、おばあちゃん、お母さん、親戚のおばちゃん、お嫁さん、近所の方などたくさんの人が寄り合い、1年をかけて「さげもん」を作り、女児の生まれた家庭に贈られていました。たくさんの人の手によって作られた「さげもん」は、女の子の一生の幸せを願う皆の思いが一針一針に込められています。「さげもん」に吊るされている小物やまりは、もともと立花藩の奥女中がたしなみの一つとして、着物の残り布で子どものおもちゃや琴爪入れを作っていたのが始まりとされ、里帰りの時に親戚などにお土産として配っていたともいわれています。やがてそれらを下げて楽しむようになり、現在の「さげもん」の風習にいたります。柳川では、2月11日から4月3日までの間、さげもんめぐりとして市内の商店やあちこちに色とりどりの「さげもん」が飾られ、たくさんの人で賑わいます。初節句を迎える一般の家庭でも公開しているところなどもあり、多種多様な「さげもん」を見ることができます。
- 柳川の『さげもん】は、直径約40センチの竹の輪に、赤糸で細工の小物と柳川まりを交互に7列7個の49個と、中央に大きなまりを2つ吊るし、合わせて51個になるように作られています。これは、縁起を担ぎ割り切れない数にしたこと、また終始苦労しないようにという願いや、人生50年といわれていた時代に1年でも長生きしてほしいという願いが込められています。そして、竹の輪に付けられた和紙で作った桜の花が特徴です。細工の小物には約30種類の様々なモチーフがあり、鶴は長生き、おかめは愛嬌美人、鼠は子だくさん、蝶はきれいに着飾らせてお嫁に出したい親心など、ひとつひとつにそれぞれの意味があります。また、おもちゃとして子どもが好むようなモチーフになっています。魔除けの意味もある赤や、紫などの祝い色を基調に作られ、基本の形は、上段から中段にかけて飛ぶもの、山のもの、木になるもの。中段から下段にかけて、水中のもの、動物、人形。最下段には、這い人形と柳川まりが配されます。小物と小物の間には、三角や四角の金紙がお金に見立てて張り付けられ、生活に困らないようにという願いが込められています。柳川まりの模様は、菊や梅など花を模したものが多く見られますが、作り手によって多種多様な絵柄が模されています。代々受け継がれていきた模様がある家庭では、小物や柳川まりの絵柄を見れば、自分の家の「さげもん」が区別できるといいます。現在も創作さげもんなども多く、5列5個の中型のもの、柳川まりだけで作られたもの、ガラスケース入りのものなどもあります。柳川に古くから伝わる伝統的な柳川まりは、「柳川まり保存会」の方々などによって現在もしっかりと受け継がれています。
- 柳川まりは現在、主にリリアーン糸で作られ、色鮮やかで艶のある作品が多く、見る人の目を奪います。今ではあまり見られませんが、昔ながらの伝統的な柳川まりは木綿の糸で作られ、それを茜やうこん、栗の木などの草木で染色し、さまざまな色の糸を作るところから手作業で行われていました。そして柳川まりの特徴の一つともいえるのが手作業で作られるまりの芯です。木毛をまるめ、それをぐるぐると毛糸で巻き、仕上がりの大きさを想定しながら丸い形を作っていきます。さらに、ふとんわたのような弾力のあるわたで包み、糸でぐるぐると巻いてきれいなまあるい柳川まりの芯ができあがります。手の感覚だけで作るまりの芯は、きれいな丸を作れるようになるまで5年はかかるともいわれています。芯ができあがると、6等分や8等分などと地割りをし、模様を入れていきます。同じ絵柄でも、作り手によって用いられる色が異なり、それぞれに個性あふれた作品に仕上がります。子どものおもちゃとして作られてきた伝統的な柳川まりは、投げてもけがをすることのないよう芯の硬さを調節したり、口に入れても安全な草木染めの木綿の糸が使われていたりと、子どもが安心して遊べる細やかな配慮がなされています。
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1月・陸月
柳川の冬ならではの光景が見れる月です。
日吉神社のおたふく/三柱神社の初詣/白秋生誕祭での子どもたちのパレード/昭代地区でのほんげんきょう/こたつ舟での川下り/伝統的な柳川まり/市駅伝競走大会/ほんげんきょうのもぐら叩き