- 「川下り」とは、昔ながらの掘割、いわゆる江戸時代の柳川城のお堀を、お舟にゆられながら巡っていくという、柳川ならではの時の過ごし方です。船頭さんたちが、竿ひとつで、ゆつら〜っと舟を進めていきます。
- お舟に乗って月見の宴を楽しんだり、競争をしたりと、郷土の記録に残るその暮らしの中の遊びが「川下り」となったのには、訳があります。
- 柳川は詩聖、北原白秋の故郷。その少年時代を描いた柳川出身の小説家、長谷健原作の『からたちの花』が映画となり、昭和29年にロケが行われました。柳川の風景が全国のスクリーンに映し出されたことから、「あの舟遊びを」との声が数多く寄せられたのです。やがて、もてなしとしての「川下り」が始まりました。
- 狭い水門をくぐったり、船頭さんの歌に耳を傾けたり。時には白秋の童謡が、道行く人のもとへも風にのって運ばれてきます。
- 待ちぼうけ
- 待ちぼうけ
- ある日せっせと野良稼ぎ
- そこに兔がとんで出て
- ころりころげた木のねっこ
- きこえてくる水音に、思わず時間を忘れる川下りは、予約なしでも乗船できるのがうれしいところ。コースは約70分。予約をすれば、舟の上で、郷土料理の鰻の蒸籠蒸しやお酒など、宴も楽しむことができます。
- 川下りは、雨の日だって、カッパを着て乗ることができます。一見大変なようですが、「雨の柳川はまた風情がありますね」といっていただけるうれしさ。雨の日も、どうぞお気軽に船頭さんに声をかけてみてください。
- 師走になると、どんこ舟にこたつがはいります。冬の柳川の風物詩「こたつ舟」です。
- 冬の情緒も楽しんでもらおうと始まったのは昭和42年。竹竿一本であやつる、電気もなにもない舟ですから、その暖をとるのは、その頃から変わらぬ「火鉢」です。こたつふとんの中は炭火でほかほかと温か。冬のぴんと澄んだ空気の中をゆつら〜っと進むこたつ舟。船会社によっては、熱燗を注文できるところもありますので、一杯やりながら乗るのもまた一興です。
- こたつ舟は2月まで。2月の下旬から、3月の初旬には、「水落とし」、いわゆる堀干しが行なわれます。水門を閉じ、掘割の水を抜き、堀底に陽の光を透して、清掃・護岸の修理などを行う、堀のおやすみ期間。水郷柳川の人びとの感謝の思いと知恵が感じられ、めったに見ることのできない堀の風景が広がります。 3月初旬、「お堀開き」では、水落し期間が終わり水門を一気に開きます。清らかな水が流れ込んで、水郷柳川の新たなシーズンが幕開けとなり、春がやってきます。
柳川おでかけWeb
表紙スライドショーの写真のご紹介
12月・師走
こたつ舟・冬蛍・おたふく、
年の瀬にあたたかさを感じさせる柳川の冬景色です。
冬のこたつ舟は、観光客をあたたかく迎えてくれます。/旧戸島家住宅の座敷から眺める庭園は、心を和ませます。/その年の御守などをを焼く大払い式。集落での年の最後の集まりです。/愛称「水郷冬蛍」の柳川駅前イルミネーション。/旧戸島家住宅の庭園には、掘割から引かれた水が流れています。/中島朝市の年末は、いつも以上に大きな売り声が響きます。/柳川御花「松濤園」の冬景色。/日吉神社のおたふくは、行列をなす初詣客を楽しませてくれます。